「好きなものだけ詰め込んでやりました。」

好きなことについて好きなペースで書いて行くのさ。

【創作】《詩》Retake

 五年といくらか。
 思い出せば遠く、目にすれば近い時間。
 変わっていないと思えばそれまでで。
 変わってしまったと思えばそうかもしれない。
 きっと朝な夕なに見ても、朝と夕とでは違う。
 花は落ちて、新芽は開いて。
 けれど人はそれを同じだと口にする。
 だったら五年といくらかなんて。
 きっと同じだ。
 変わってしまったのは私たちだけだ。

 一年といくらか。
 この道を歩いてあなたを見つめた。
 髪型を変えたんだね、今日のシャツの色は珍しいね。
 ささやかな違いを見つける度、口元がほころんだ。
 やさしくないと言われた私が。
 やさしくいられた時間だった。
 一年が一年一年と輪切りにされなければ。
 私はずっとそういられたに違いない。
 でも、年は変わるから、年は重なるから。
 かつてそこにあったものは、隠れていく。
 だから一年といくらかで終わる。
 そんな運命だった。
 許されたのは、悲しむことだけだ。

 十分といくらか。
 どんな受け止め方を探しても、短い時間。
 それだけでも、と幸せに受け止めても。
 それだけしか、と不幸せに受け止めても。
 過ぎ去れば、私は同じ顔をする。
 あなたの歩幅は変わらない。
 私たちの会話は変わらない。
 手を振る場所も変わらない。
 私たちの関係だけが異なる。
 この道を歩くことで。
 それが痛いほど分かるよ。

 もう、恋人じゃないんだね。

 

 

英語タイトル好きなんですよね。