詩
五年といくらか。 思い出せば遠く、目にすれば近い時間。 変わっていないと思えばそれまでで。 変わってしまったと思えばそうかもしれない。 きっと朝な夕なに見ても、朝と夕とでは違う。 花は落ちて、新芽は開いて。 けれど人はそれを同じだと口にする。 だ…
空気に向かって笑う女性、耳からイヤホン。 ああ、通話してるんだろうなって理解して。 都会のオンナノコだな、なんて思った梅田で。 トイレから出てきた老人、左手にガラケー。 えっ、通話してたのかな……って吃驚して。 いつの世も変わらない、そこは街だ、…
創ることをやめたら、きっと私は楽になれる。 美味しいものを食べて、楽しいことをして、知らない所へ出かけて。 創ること以外に全力になれたら、私はきっと幸せになれる。 でも、それが私でないことを、私は誰より知っている。 好きから始まった日々。 これ…
「五組の中岡、結崎のこと好きなんだって」 これで、何度目だろう。 あなたから違う〝好き〟を伝えられるの。「そうなんだ」「相変わらずモテモテだな。羨ましいや」 羨ましいの意味、分かってる? 言えない。私はこの人の心に、入り込めない。「でも、好き…
愛のために愛する、そんな悲しい嘘。「愛してる」なんて、もう口に出来ない。 あなたに愛されるために。 私を嫌いにならないために。 全て、私のため。 あなたにしてあげること、全部。 誰より優しい彼女。 誰より冷たい彼女。 言葉は違うのに、意味は同じ。…
たったかたったか。 あなたは駆ける。 たったかたったか。 小気味よく。 私はそれを追いかける。 必死に必死に追いかける。 だけども距離は縮まらず。 たったかたったか。 離れてく。 いつしかあなたは見えなくて。 置いてかれたよ 私は一人。 真似してみて…